作品概要

「森ラジオ ステーション」は人を森へ導くための駅として2014年に制作された。小湊鐵道月崎駅の詰所小屋を山に見立て、約60種以上の山野草と苔で覆った作品で多種多様な動植物が生息している。内部には森とつながる仕掛けが施されている。森のライブ音が聴こえるラジオや、霧の森にいるかのような天窓からのびる光の柱や虹、室内にいても風の方角がわかる風見鶏などがある。来場者は四季を通じて森ラジオの変化を楽しむことができる。有志団体「森遊会」は通年維持管理を行うだけでなく、来訪者と関わり、そこに交流が生まれる。人が生み出す関わり合いも大切な作品の一部である。

森林国日本は、かつて森と共に暮らしてきたが、今日の私たちは森と距離を置いて生活してはいないだろうか?森を遊びながら森と共にある私たちの本来の理想の生活は何かを考えるきっかけとなることを願う作品である。

ー作品にかける作家の想いー

森の恵みを頂き、森と共にあった日本人の生活は時代とともに変化し、現在は森と人との繋がりが薄く、森林国であることさえも忘れてしまって生活いる人も少なく無いように感じます。現在全国で起きている獣害、山の荒廃、土砂崩れや水害などの自然災害に加え海の生態変化の問題などは、人と森との関わり方の変化も要因の一つと考えられます。日本の森がもたらす恵は大きくその役割も重要にもかかわらず、その裏で現在の森が抱える問題は計り知れません。出口の見えない膨大な問題に目を背けるのでは無く、目を向け考え話し合うことが大切だという思いからこの作品を制作しました。
まずは森に興味を持ち、楽しみ、遊ぶ場、学びの場として森に足を運ぶ切っ掛けとなれば嬉しいです。

 

ー森と建物との融合ー

現代人の居住空間の多くは断熱性や防音性も高まり、明かりも自由に調整できるため、その日の天気や気温、時間すらも感じずに過ごしてしまうことも少なく無いように思います。この建物の壁を隔てた内と外との関係は、現在の人と森との関係に似ているように思います。森ラジオでは生活の中に森を意識できるような空間、森と居住空間の融合を試み制作しました。

内容の詳細は「作品要素」からご覧ください。